日本海は波がないこの時期、波情報を見ながら、台風13号の動きを観察していた。台風は日本に接近しているものの、南の沖縄に向かっていた。しかし、湘南だけまともに風を交わし、サーフィンができるのではないかと予想し、「行けるときに行くしかない」と思い、あの伝説の波の存在する湘南の稲村に向かうことに決めた。夜9時に出発し、東京方面に車を走らせたが、夜中の2時に山梨県に着いた。少しだけ仮眠しようと思ったが、うっかり3時間も寝てしまった。朝もう5時になり、湘南の茅ヶ崎に着いたのは、もう7時だった。茅ヶ崎も台風スウェルが入っていて、波もとても綺麗で、そこではスタイリッシュなサーファーがカッコいい波乗りをしていた。本当は海に入りたかったが、我慢をして、鎌倉の方に向かった。車で海沿いを走りながら、大きなうねりと良い波を見て、とても興奮しながら運転していた。稲村ヶ崎に着いた瞬間、どこよりもすごい波のうねりがブレイクしていた。すぐに目の前のパーキングに止めて、カメラを持ち出し、撮影を始めた。とても綺麗な海と、そこで割れる大きな波は、なんとも言えないくらい美しかった。波のセットが来るたびに、とてもすごい波動を感じていた。まるで昔パイプラインで撮影していたような、妙に緊張した空気だった。稲村は、普段波が立たない。だからこそローカルサーファーは、この時を待っていたとばかりに、みんな大きな波にチャージしていた。1時間ぐらい撮影して、「自分もこの伝説の波に入らないと一生後悔する」と思い、重い腰を上げて海に入ることにした。カレントもとても強く、パドルしながら大きな波に当たらないようにドルフィンスルーしながら、なんとか波の割れるポイントにたどり着いた。そこでは、とても強烈なローカルが並んでいた。最初はピークに行かず横で波を見ていたが、沖で波を見ているよりも、はるかに海の中はダイナミックで、強烈な波のパワーを感じた。30分ぐらい乗れなかったが、少しずつ波と海の雰囲気を感じて、1本目の波に乗った。まるでジェットコースターから降りるような感じだった。乗る前は恐怖だったが、波に乗った後は笑顔になり、なんとも言えない幸福感を感じた。道中、いろいろ大変だった。仮眠のつもりが眠り込み、茅ヶ崎では波を横目に我慢もした。それでも、稲村に着いた瞬間、その全部が意味を持った。カメラ越しに見ていた波に、自分の足で乗る。恐怖は、波に飲まれる前の一瞬だけだった。板の上に立った瞬間、確かにそこにあった。あの波は、幻なんかじゃなかった。自然を読み、そこへ向かい、体感する。それがサーフィンの面白さであり、自分がずっと追いかけてきたものなのだと改めて思う。こちらは、その時の伝説の波の映像。